大谷知子

子供の足と靴のこと

連載㊶ 長期コロナ休校明けの子供たちに「運動」の提案

6月に入って、全国的に学校が再開。教室内で安全な距離を保つためクラス全員が揃うことはなく二部制になっているようですが、「学校に来られるようになって嬉しい!」と言っている子ども達を見るとホッとします。
その一方で、安倍首相の突然の休校要請から3ヵ月。この歳になっても夏の終わりに蝉時雨を聞くと、暗い気持ちが蘇りそうになるくらい学校が好きではなかった私は、こんなにも長いコロナ休校をきっかけに不登校になる子が増えはしないかと心配になったりもしています。
心配は、健康面もあります。サッカー教室、スイミングスクール、少年野球、みんな自粛となり、近所の友達と連れだって公園で遊ぶこともできない。ステイ・ホームに最適な遊びは、ゲーム。「どうぶつの森」に興じていたら、もう少しでカッコいい服が作れるというところで、“今日のゲーム時間は終わりよ!”というお母さんの声。運動不足の上にストレス溜まりまくり。休校太りになったり、精神が不安定になったりしているのではないだろうか…。
そんなことを考えていたら、娘の机に『12歳までの最強ストレッチ』という本。娘は12歳の数倍という年齢だが、仕事の資料として買ったらしい。
子供のストレッチもあるのか…。ペラペラとページを繰ってみると、
「(前略)子どもたちの首や腰に触れて指導をすると、大人のように堅くなっている子がいます。(後略)
問題は同じ姿勢を繰り返すこと。『少しの時間でもできるストレッチを日々の習慣にして欲しい』というのが、(中略)私の切なる願いです。(後略)
柔軟性は体作りの土台です。柔軟性が高まると、(中略)姿勢がよくなるので集中力がアップし、勉強にもいい効果をもたらします。(後略)」
ストレッチなら部屋の中の狭いスペースでもできるし、気分転換にもなる。コロナ自粛生活の子どもたちにもってこいではないのか。
という訳で、今回は、運動の話です。

●足指体操で盛り上がり、親子でストレス解消
ストレッチ前の準備体操から背中、肩甲骨など各部位の方法が紹介されていますが、脚・足に絡むものを記します。
まず、壁押しアキレス腱伸ばし
壁の前に立ち、片方の足を後ろに引く。この状態で壁に両手をついてグッと壁を押す。この時、膝は曲げない。また、足裏全体を床につける。踵を上げてはいけません。
次に、足首屈伸。
膝を曲げて手で足首をつかみ、その状態で膝を伸ばします。
この二つは、モモ裏のストレッチです。
すごく簡単、誰でもできます。もっと詳しく知りたい方は、本を見てください。著者は、パーソナルトレーナーの谷けいじさん。徳間書店の発行です。

未就学の小さい子たちには、足の体操がいいのではないでしょうか。これは、いろいろな場面で紹介されていると思いますが、拙著『子供靴はこんなに怖い』でも取り上げています。ゲーム感覚で楽しめます。
最初に紹介したいのは、足じゃんけん。
足指をグッと縮めてグー、開いてパー、チョキは、親指、もしくはその隣の第二指を上げます。
次にビー玉拾い。足指でビー玉をつかんで拾います。
タオル綱引きは、タオルの端を足指でつかみ、引っ張りっこします。
いも虫歩きは、足を開いて立ち、両足の5本の指で床をつかんで前に進みます。
指の動きは、安定した立ち姿勢や歩きに重要。そして指を動かすことが筋肉やじん帯を刺激し、丈夫な足に導いてくれます。
親子でやると、「ママ、チョキができないの?!」「パパのいも虫歩き、進まないじゃん!」などと盛り上がり、ストレスが吹き飛ぶかもしれません。

いずれも 拙著『子供靴はこんなに怖い』より

大谷知子(おおや・ともこ)
靴ジャーナリスト。1953年、埼玉県生まれ。靴業界誌「靴業界(現フットウエア・プレス)」を皮切りに、靴のカルチャーマガジン「シューフィル」(1997年創刊)の主筆を務めるなど、靴の取材・執筆歴は約40年。ビジネス、ファッション、カルチャー、そして健康と靴をオールラウンドにカバーし、1996年に出版した「子供靴はこんなに怖い」(宙出版刊)では、靴が子どもの足の健全な成長に大きな役割を果たすことを、初めて体系立てた形で世に知らしめた。現在は、フリーランスで海外を含め取材活動を行い、靴やアパレルの専門紙誌に執筆。講演活動も行っている。著書は、他に「百靴事典」(シューフィル刊)がある。